日本で英語を学ぶという選択
(ディサーラ)私たちはスリランカ出身で、母語としてシンハラ語を話しています。英語教育は日本と同じく学校の授業で勉強する程度で、特に私はスピーキングが苦手でした。日本語も高校から勉強を始め、そのあと日本語学校で2年、大学で2年間勉強しています。そのため、英語も日本語も最初から話せたわけではありませんでした。スリランカ自体が小さい国ですし、外国人もあまり観光に来ることもなく、異文化に触れること自体が少なかったです。大学では英語の勉強もしたいと思っていたので、英語を話せる環境のある大阪女学院大学に入学することを決めました。ネイティブの先生がたくさんいて、おもしろい大学です。
(サンダリ)私も日本語と英語の勉強については、ディサーラさんとあまり変わらないです。母の影響で中学から日本語の勉強を始めました。いつかはどこかに留学したいという気持ちがあったので日本語学校に留学を決め、その後、大学で英語を本格的に学ぶようになりました。英語しか話すことができない先生もいますし、毎日プレゼンをしているので英語を話す機会が増え、英語力は格段に伸びました。しかし、まだ日本語のほうが得意ですね。
問題意識の違いを感じたインターンシップ
(ディサーラ)大学全体でプレコン出場を推奨するような取り組みがあります。私もサンダリさんも別々で第6回大会に出場していて、その時は二人ともトップ50に入っていました。第7回大会にも必ず出場したいと思っていたので、テーマが出るまで毎日HPをチェックしていました。インターンシップで小学生?中学生の授業のサポート役をしていたのですが、そこで日本とスリランカの教育の違い、環境問題への意識の違いを実感しました。この経験が、今回プレゼンした1日制ワークショップ「ONE:海洋とエコブリック」を作り上げることにとても役立ちました。
(サンダリ)スリランカには「環境」という授業が当たり前のようにあります。身近な問題としてプラスチック汚染や土砂崩れの問題があるからだと思います。例えば、土砂崩れを授業内で学ぶにしても、知識をつけるための勉強だけでなく、どうやったら土砂崩れが起こらなくなるのかを考え、友達同士でアイデアを出し合い、実際にそのアイデアを学校の中で実行するといったことまでやります。ただ、環境問題について勉強してきた私たちでも、エコブリックは、今回のプレゼンを準備する中で初めて知りました。
周りのサポートと全ての学びをプレゼンに
(ディサーラ)優秀賞を受賞できたのは二人の力はもちろんですが、普段の大学の授業や、先生方にアドバイスをいただいたおかげだと思います。授業でプレゼン資料はシンプルに作るように学んだので、文字を詰め込みすぎず、絵やヴィジュアルを中心として作成しました。また二次予選前日に、大学で8名の先生にプレゼンを見てもらって、多くの質問してもらいました。特にエコブリックについては絶対に質問されると先生に言われていたのでしっかり対策をしました。自分たちでもグループ感を出すため、アイコンタクトや服装を合わせたり、最後に二人で手を繋ぐなど工夫をしました。数ある要素の中でも、一番評価されたところは質問回答とアイデアだと思っています。
(サンダリ)この点については、第6回大会に参加したことがとても活きました。本選に進んだ方々のプレゼンを見ていたら、英語プレゼンテーションコンテストなので、もちろん英語力も大切ですが、それと同じくらいアイデアが大切だということに気がつきました。また、プレゼンが上手くいっても、質問された内容にしっかり回答できていない人が多くいた印象がありました。まずは、質問に対してシンプルに回答する。その後に追加情報を付け加えるということを意識することにしました。それ以外にも、前回大会から改善したことは多くあります。日本人にもわかりやすい発音を意識したり、英語を話すスピードが外国人は速いと言われているので、7分間で終わるスクリプトを用意して、スピードを遅くして10分間で話すといったこともしました。
二人だからこそ乗り越えられたプレッシャー
(ディサーラ)二人で一緒にいることが多く、いつもプレコンの話をしたので、準備期間も楽しかったです。お互いがお互いのことを理解していて、何が得意で、何が不得意なのかも把握しているので助け合うこともできましたし、それが優秀賞という結果にも繋がったのだと思います。今回、優秀賞を受賞することができ、自信もかなりつきました。前までは人前で話すことが苦手でしたし、ましてや英語で話すことは本当に緊張していました。でも今の私は違います。皆さんにも学生の時にしかできない、このプレコンにチャレンジして楽しんでほしいなと思います。きっと自分の可能性の幅を広げることができると思いますよ。
(サンダリ)日本の皆さんも英語でプレゼンするということにプレッシャーがかかるかと思いますが、私たちは外国人だから英語ができて当然と思われることが多く、おそらく皆さんの二倍プレッシャーを感じていました。このプレッシャーの中で結果を出すことで、自信を持つことができましたし、挑戦することの大切さに気がつきました。プレコンにはプレゼン技術や英語力はもちろんですが、アイデア?解決策を自分で見つけ出すこと、質問されたことにしっかり答えることなど、社会人になっても役に立つことが詰まっているんじゃないかと思います。きっと新しい発見があると思うので、是非、チャレンジしてほしいと思います。