台湾留学で広がった視野
2018年9月から約10か月間、台湾の実践大学に留学しました。将来的に起業してみたいという思いもあり、留学先ではインターナショナルビジネスを専攻しました。留学を決めた当初は、英語も得意ではなく、自分の言いたいことを伝えられないもどかしさなど、苦労の連続でした。現地での授業は全て英語で、自分の意見をいつも求められる環境でした。授業の予習復習を欠かさず行うなど、この10か月の間に英語力や発言力をかなり鍛えられました。実践大学は青森大学と交換留学協定を結んでおり、この留学もプレゼンテーションコンテストの内容に繋がっていました。日常生活では、欧米人、台湾人、中国人など世界各国からの留学生と生活を共にすることで、今まで自分が持っていなかった価値観や考え方を学ぶことができ、自身の視野が広がっていくのが分かりました。
ゼミ論文の研究テーマがプレゼンに生きる
留学中には、ゼミ論文の研究も同時に行っていました。そのテーマが「台湾と青森県のリンゴ貿易について」で、今回のプレゼンのテーマの基礎となったものです。青森県の魅力は沢山あるのですが、その中でも台湾と関係の深い青森県のリンゴに興味を持ちました。台湾に輸出される日本のリンゴのほとんどが青森県産で、現地では非常に人気があります。現地でスーパーに行くと、青森県産のリンゴが売っており、台湾人のお客さんたちは非常に好んでそれを買っていきます。研究のフィールドワークのため、日本のリンゴの魅力などを現地の人へインタビューをした際にも青森県産のリンゴは好まれていました。帰国後、Googleの広告で出ていた全国学生英語プレゼンテーションコンテストに興味を持ち、テーマを確認したところ、自分の研究していることがそのまま生かせるのではないかと思いました。
意識した「メッセージ性」を持つ内容
「過去の大会参加者のプレゼンに惹かれたこと」と「大学の集大成としての舞台という参加の意味が明確になったこと」の2点が、私が第8回大会に参加を決めたきっかけです。準備は集中して2か月間コツコツ行いました。就職活動の時期と準備期間が重なっていましたので、すきま時間を活用して用意をしてきました。まず初めに私が考えたのは、発表内容の「メッセージ性」です。エントリーする方は沢山いますし、内容の濃い方や、細かく分析している方はもの凄く多いと思いました。しかし、私はそれとは違い、内容も視覚的にもシンプルで、誰にでも一目で理解してもらえるメッセージ性を重視し、準備しました。特に、提案した台湾人向けのワーホリ計画は、日本の「四季」ごとに体験して貰えるプランを考え、それをプレゼン資料に分かりやすく表示しました。ちょうど準備をしていた時期に日韓の政治的問題がニュースで取り上げられている頃でした。それを見て、国と国との関係は政治上困難な状況でも、民間レベル、とくに人と人とは観光によって繋がれるという思いが生まれました。難しい問題を抱えていても、人を動かすものは何かということを大切にして、分かりやすく、伝わりやすい内容を作り上げました。
スコアシートを意識した戦略
私の英語力は高くないほうだと思っていましたので、ファイナリストに残るためには、他の部分で高評価を得る必要がありました。スコアシートを非常に意識していて、どこの部分で得点と獲ろうかまず考えました。私は特に内容と構成、口頭発表力に注力しました。覚えたことを話すのではなく、聴衆とのコミュニケーションを取りたいと思っていましたので、対話を意識した発表に仕上げました。そして、会場の皆さんを味方にしてしまおうと考えました。私なりのコツとしては、本当に訴えかけたい部分に関しては、スライドを使わないという技が非常に効果的だったなと感じています。本選での発表の最後で、スライドを真っ黒にしました。私だけに注目してもらえる状況を作り、言葉と表情のみで審査員、聴衆の皆さんに語りかけました。
プレゼンでは構成を考える際、色々な情報が溢れ、何をしたいのかが分からなくなってしまいます。1回考えた構成や発表内容は日を置いてもう一度確認することで、違和感を得やすくなり、不要な部分は削ぎ落していきました。そうすると必要な部分が残り、一目で何を聴衆の方々に伝えたいのかが分かりやすくなりました。
自分に不足していたこと、大会を終えて
今思うのですが、質疑応答の対策が不足していたと感じます。出るからには文部科学大臣賞を意識していましたので、全体のバランスが上手くとれていれば、結果よりも上にいけたかもしれません。個人の部で参加された皆さんとは、今でも連絡を取り合う仲になることが出来ました。プレコンに参加したことで、かけがえのない仲間と出会うことができ、何より自分の自信に繋がりました。今回のプレゼンを通して、普段の生活で目標を立て、実行し、評価するプロセスが大切だと確信しました。これから、事業家として活躍するためにこのプロセスと行動力を大切にしていきたいです。