「Y2Kファッション」、流行中!!
2000年代初頭の「お腹見せ」「ミニ丈」ファッション
ファッションには周期性あります。長い時間がたつと、やがて流行が戻ってくることは、多くの人が経験しています。通常、そのサイクルは数十年といわれていますが、「Y2K」ファッションは20年で、現在、再び主流のトレンドとなっているようです。
「Y2K」(ワイツーケー)とは、「Year 2000」(2000年)のことです。Y2Kの「K」は重さや距離の単位「kg」「km」と同じで「1000」という意味です。今からおよそ20年前の2000年頃に流行した、「お腹見せ」「ミニ丈」「ボリュームスニーカー」(厚底)などのファッションが、現在、世界の「Z世代」(現在10代後半から20代)や30代の間で人気となっています。
ブリトニー?スピアーズがお手本!
Y2Kファッションのお手本になっているのが、歌手?女優のブリトニー?スピアーズ(Britney Spears)やジェニファー?ロペス(Jennifer Lopez)、実業家?モデルのパリス?ヒルトン(Paris Hilton)などの2000年代初期のファッションです。派手で、リッチ感があり、ホップでカラフルな色使い。同時に「軽さ」「遊び」の感覚をもちながらも、「自己主張」も忘れない。そうした特徴を持っていました。
ちなみに、ブリトニー?スピアーズ(Britney Spears)は、1990年代末から2000年代半ばにかけて、アメリカのポップシーンを代表する女性シンガーとして活躍しました。アメリカで「ポップの女王」とも呼ばれ、「ブリちゃん」という愛称で日本でも人気となりました。
「コギャル」ブームと「ディズニーシー」開業
日本の当時を振り返れば、安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんが、音楽?ファッション業界を席巻していました。1990年代後半に流行した、コギャル、ルーズソックス、厚底ブーツ、茶髪、「たまごっち」を思い出す人も少なくないでしょう。さらに2001年には東京ディズニーシーもオープンしました。
「コギャル」とは、「日サロ」(日焼けサロン)で焼いた肌やルーズソックスなどが特徴の女子中高生のことをいいます。当時、ギャル系雑誌『egg』などで頻繁にとりあげられました。
「アムラー」の象徴「ルーズソックス」が今、ブームに!
この頃、安室奈美恵さんのファッションをまねる「アムラー」、顔を黒く塗る「ガングロ」などのギャル文化が盛り上がり、「女子中高生」が時代の主役に躍り出ました。現在、ファッションビルの「SHIBUYA109」で、コギャルのアイコンだった「ルーズソックス」が再び売れているようです。
このように、日本でも、2000年代初めは、「イケイケ」で明るく、華やかな時代だったのです。
「Y2Kファッション」にノスタルジーを感じる!
では、なぜ、今、Y2Kファッションに人気が集まっているのでしょうか?第1が、「ノスタルジー」“nostalgia”です。2000年代に子供であった20代や、30代の若者が、その頃を思い出し「ノスタルージー」“nostalgia”を感じているからです。
“nostalgia”の発音は「ノスタルジア」なのですが、日本語では「ノスタルジー」という表現が一般的だと思います。「郷愁」「懐古」「追憶」、つまり「過去、特に幸せだった時代に対して抱く愛情のような気持ち」のことです。
第2に、Z世代にとっての「新しさ」です。2000年当時のファッションが記憶に強く刻まれていないZ世代にとって、キラキラ、明るいY2Kファッションが新鮮なものに見えているということです。
第3に、新型コロナウィルス感染拡大によってもたらされた「閉塞感」に対する反動です。外出自粛や行動抑制によってもたらされた圧迫感のなかで、「気持ちだけでも元気でいたい」といった思いと、「自分らしく大胆で明るい2000年代のファッション」がマッチしたと考えられています。
Y2KファッションはSNSで「映える」!
第4に、ソーシャルメディアです。Z世代が、派手で、明るい「キラキラファション」を着こなした「映えた」画像や動画が、InstagramやTikorなどのソーシャルメディア(SNS)で拡散されています。
ちなみに、英語で「インスタ映え」にピッタリとあった言葉はないようです。あえていえば、「写真写りがいい」という意味の“photogenic”(フォトジェニック)に由来する“instagenic”(インスタジェニック)かな、と、アメリカ人が教えてくれました。(次回へ続く)