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どこから、何を見ているのか。自分の立ち位置を知るのがリベラルアーツ

グローバル?リベラルアーツ学部 准教授 吉田 京子

異国情緒は、生活に根付いた宗教の現れ
外国を訪れると、私たちは「違う国」「違う文化」を感じます。目に入ってくる教会や寺院などの建物、イスラーム教の国で流れる礼拝を呼びかけるアザーンの放送、食べ物、匂い、街ゆく人々の姿など。その多くは、そこで暮す人々の生活に深く根付いている宗教の一番コアな部分が形や音、匂いなどになって現れ、私たちの感性にダイレクトに訴えかけてくるのです。ちょうど、日本を訪れる海外からの観光客が、京都を訪れて感じる日本らしさも、きっと同じ感覚なのだろうと思います。多くの国で、宗教は人々の暮らしの基本を形づくり、文化を作り出しているのです。

世界と世界の人々を理解するために必要なもの
2021年度に入学してきたグローバル?リベラルアーツ(GLA)学部一期生は、宗教について高校の教科書で学ぶぐらいの知識と興味しかもっていない人がほとんどだったと思います。しかし、海外スタディ?ツアーを含むグローバル?チャレンジ?タームで、リトアニア、インド、マレーシア?ボルネオ、エルサレムの4カ国?地域について学び、リトアニア研修で現地を訪れ、1年を通してリベラルアーツの入り口を学んできた学生たちから、宗教を学んでみたいという声を聞くようになりました。世界を知り、世界の課題を解決するためには、人を知り、その国を理解する必要があります。そのためには宗教を知ることが欠かせない視点だということに気づいてくれたのだと思います。

すべてのものごとの根源にいるのは人間
例えば、地球温暖化の原因とされるCO2を削減することは、化学の問題であり、経済の問題であり、国際世界のルール作りの問題でもあります。さまざまな課題が複雑に絡み合っていますが、それらすべての根源にいるのは人間です。世界が抱える課題を生み出した人間そのものを考えていくのが Humanities(人間と文化)、つまり人文科学の分野です。地球温暖化をダイレクトに解決するための「実学」ではありませんが、それを生み出した人間のコアの部分を学び、人の思索を深く学ぶ Humanitiesは、「人間とは」「地球とは」というテーマを考えた時に、必ず戻ってくる分野だと言うことができます。

自分の立ち位置を知りさまざまな視点からものごとを見る
平和のためのグローバル教養を学ぶGLA学部では、Humanities(人間と文化)、Societies(社会と共生)、Global Studies(グローバル?スタディーズ)という三つの分野を中心にリベラルアーツを学びます。それは、世界の課題とその解決方法を考える時に、どこから、何を見ているのかという自分の立ち位置を知り、さまざまな視点からものごとを見ることができるようになることが大切だからです。情報があふれている世界の中で、本質を見極め、人を動かす力を養うのがリベラルアーツです。中でもじっくりと人間について深掘りをする視点を身につけるには、Humanitiesは最適な学問分野なのです。
吉田 京子(よしだ きょうこ)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士( 文学)。専門はイスラーム思想。
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