活躍するKUIS在外公館派遣員たち（Vol.27／アラブ首長国連邦）

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活躍するKUIS在外公館派遣員たち（Vol.27／アラブ首長国連邦）

“活躍するKUIS在外公館派遣員たち”というテーマで、赴任中または帰国後の様子を紹介するシリーズ第27弾。

元在アラブ首長国連邦日本国大使館派遣員の小松瑞穂さんをご紹介します

小松瑞穂さん（国際コミュニケーション学科国際コミュニケーション専攻2014年3月卒業）

派遣員を志した理由

大学生1年生のころ、将来は英語を使って海外で仕事がしたいと漠然と考えていて、具体的な目標がなかった私は、何をすればよいかわからず悩んでいました。そんな時偶然久保谷先生から「在外公館派遣員制度」について知る機会があり、同時に「Planned Happenstance」という考え方を教えて頂きました。それは「将来何になろうって思っていたって何が起こるかわからない、だから目の前にあること、自分がやれる事をとりあえず今、精一杯やってみればいいじゃないか」という考え方でした。そしてそこから目の前の「外務省在外公館派遣員」になるために2年半あきらめずに勉強し、合格することができました。

実は私が赴任したアラブ首長国連邦は当初の募集公館のリストにはなく、追加で出てきた公館でした。この試験に合格して海外に行けるのであれば、どこでもいい、とにかく頑張ろう、と思っていたので、合格の電話が来たときは、中東の国、ということくらいしかわからない状態でしたが、迷わず「ぜひ、行かせてください！」と返事をしました。

アブダビでの生活と仕事

アラブ首長国連邦（United Arab Emirates：UAE）は７つの首長国に分かれており、みなさんがよく知っているドバイはそのうちの一つの首長国で、首都はアブダビです。中東と聞くと危なそう、といったイメージをするかもしれません。来てみるとアブダビは女性が夜に歩いても問題ないくらい安全です。(もちろん危ない場所にはわざわざ行かない等の配慮は必要です）自分で車を運転して通勤もしていました。

大使館では官房班に所属し、日本からの要人や出張に対しての便宜供与、館用車の管理、現地職員の橋渡し役などをしていました。アブダビでは新しいホテルやレストラン、イベント会場などが次々とできており、情報収集を頑張っていました。新しいホテルができると見学に行き、そのホテルにはどんなレストランが入っているかなどを把握し、出張者や要人一行が来訪された際にもすぐに情報提供できるように努めていました。ある視察団がアブダビに訪問された際も「小松さん、どこか20人程度が入れて雰囲気の良い料理屋さんはある？」というリクエストにもすぐ答えられていました。「アブダビのホテルとレストランなら任せて」というように、派遣員という縁の下の力持ちという立場ではありましたが、自分しかできないことを見つけて、やりがいを感じながら仕事をしていました。

プライベートは大使館員やアブダビ日本人学校の先生などと一緒にビーチバレーをしたり、テニスをしたり、それぞれの家に招いてご飯を食べたりと非常に充実したものでした。日本を出て生活をしている人は自分のしている仕事に強い意志を持っていて、様々な経験を経てそこにいる方々ばかりで、そんな方々と一緒にアブダビで過ごすことができ、帰国後もその関係を続けられているということが何よりもの財産だと私は思います。また、中東という地域にいたおかげで日本にいるだけでは知ることのできなかった、イスラム教の大事な祈りの文化、アラビア語、様々なものに直接ふれることができました。豚肉やアルコールについてUAEはそこまで厳しくなく、限られた場所であれば買ったりすることができました。いろいろと宗教的な側面から見ると違いは多くあります。しかし、実際に現地の人々と接していく中で、アラブ人と日本人は近いものがあると感じてきました。

帰国後のキャリア

現在、一般財団法人日本国際協力センターの研修事業部で海外からの訪日研修に関する企画?運営をしています。直近では、中東での経験が買われ、クウェート国の政府職員を対象とした訪日研修を担当し、先方と直接契約を結ぶところから任せてもらいました。同じ中東といえども何もかも同じではないので、まずはクウェートのことを調べるところから入りましたが、参加者が来日して、アラビア語で少しコミュニケーションをとると驚きながらも喜んでくれて、アブダビにいたころを思い出し嬉しくなりました。彼らは来日してから本国とは違う日本の文化に戸惑うこともありますが、日本のことを少しでも好きになってくれたら嬉しいという思いで日々仕事をしています。

アブダビで3年間の派遣員経験があったからこそ、こうやって日本と外国をつなぐ仕事ができていると思います。みなさんも、外国に興味があって外に出てみたいという思いが少しでもあるのであれば、その目の前のチャンスを逃さずにぜひ挑戦してほしいと思います。